『MASTERS 2025 3rd season 高松』以降の『MASTERS 2025 3rd season』はスタンダードに切り替わります。スタンダードも『MASTERS 2025 FINAL』に向けてこれから盛り上がる季節ですので、次回の記事で取り上げていきたいと思います。
それではまた来月お会いしましょう!
第509回:Decks of the Month 今月のデッキ(2025年8月)
ライター・たるほさんによる、その月に活躍したデッキやメタゲームを解説するマンスリーコラム。
第5回は、1か月後に『L3 championship 2025』を控えているL3構築の環境を掘り下げます。
【今回のトピックス】
1. 8月のトーナメントから浮かび上がるL3構築の有力デッキ2. 各種デッキタイプごとの特徴と環境での立ち位置
3. 『L3 championship 2025』でもテーマになりそうな"3つのポジション"
みなさんこんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
8月は『深淵のガンスリンガー』が発売され、『MASTERS 2025 3rd season』は3大会(さいたま大会、奈良大会、名古屋大会)すべてがL3構築で行われました。というわけで今回は、この連載では初めてL3構築について考察して行きたいと思います。
なんといっても『深淵のガンスリンガー』環境では新たな日本代表2名が決まる『L3 Championship 2025』が10月に開催されるということで、俄然注目度も高いですよね。ぜひチェックしていってください!
『深淵のガンスリンガー』環境開幕! L3構築の有力デッキ
まずは、8月の『MASTERS 2025 3rd season』で活躍した『深淵のガンスリンガー』環境の注目デッキを見ていきましょう。
前段として、新たなブースターパックが発売されるごとにカードプールの約1/3が入れ替わるL3構築は、環境によって主要な構築がガラリと変わることも特徴的なフォーマットですが、今回はローテーションに加えて【25-007R】グレンの禁止カードへの制定もあり、『星の涙』シーズンに暴れ回った「火氷風ソルジャー」がどうなるのかにも注目が集まっていました。
①「氷風雷ソルジャー」
そんななかで迎えた環境初戦の『MASTERS 2025 3rd season さいたま』で優勝したのは「氷風雷ソルジャー」でした。
【25-007H】グレンの禁止により大きな影響を受けたかのように見えた【ジョブ(ソルジャー)】ギミックでしたが、新たに登場した【26-082H】アンジールがその穴を的確に埋めており、多くの新規デッキを押しのけてルークさんは10連勝という圧巻の戦績を納めています。
■『MASTERS 2025 3rd season さいたま』優勝:ルーク デッキ:ソルジャー
フォワード 24
バックアップ 18
LBデッキ 8
デッキの基本となる動きは【24-025L】ジェネシスから始動する【ジョブ(ソルジャー)】ギミックです。
初動はバックアップを展開して手札に【ジョブ(ソルジャー)】のパーツを揃えつつ、2ターン目は【24-025L】ジェネシスをキャストしてコストを軽減した【26-082H】アンジールへとつなぎ、さらに【26-082H】アンジールのアクションアビリティで【ジョブ(ソルジャー)】を直接フィールドに出すことで【24-025L】ジェネシスのアビリティを発動させ、相手のリソースを大きく削り取ることが可能です。
自前でサーチを行えた【25-007H】グレンに比べて【26-082H】アンジールは必要となるパーツを別途サーチするか自力で引く必要がある一方で、アクションアビリティによりスタック上で【ジョブ(ソルジャー)】を出すことができるため、【25-100R】マットのアビリティを召喚獣のように使い【ジョブ(ソルジャー)】を守れるという独自の強みもあります。
またバックアップを伸ばしてから戦うゲームプランも強く、コンボパーツとなる【ジョブ(ソルジャー)】を手札に蓄えてから一斉にプッシュする動きも可能なため、相手に合わせてプランを切り替えていける柔軟性も兼ね備えています。
『星の涙』シーズンのリストと比べて爆発力はやや落ち着いているものの、「氷風雷」の3属性にデッキが固まったことで安定性も手にしており、先述の器用さも相まってこれまでとは別ベクトルで強化されたデッキとなりました。
さいたま大会では使用した8名のうち3名がトップ8に進出しており、いずれの大会でも次に取り上げる「エオルゼア十二神」に次ぐ使用率2位につけているという結果がデッキのポテンシャルを物語っています。
②エオルゼア十二神
その「氷風雷ソルジャー」を使用率において3大会すべてで上回り、『MASTERS 2025 3rd season 奈良』『MASTERS 2025 3rd season 名古屋』を連続で制しているのが「エオルゼア十二神」です。
■『MASTERS 2025 3rd season 奈良』優勝:あや デッキ:エオルゼア十二神
フォワード 27
バックアップ 18
召喚獣 5
LBデッキ 8
■『MASTERS 2025 3rd season 名古屋』優勝:結城 デッキ:エオルゼア十二神
フォワード 29
バックアップ 15
LBデッキ 8
「エオルゼア十二神」は『深淵のガンスリンガー』で新たに登場した大型パッケージで、フィールドに4体以上の【ジョブ(エオルゼア十二神)】が集まることで高いバリューが生み出されます。かつて人気を集めた「モールズの夜会」を彷彿とさせるデッキですが【26-001R】アーゼマ、【26-037H】ハルオーネ、【26-097R】ラールガーといった制圧力の高いエースフォワードも豊富なため、単純な出力においては「モールズの夜会」以上と言えるでしょう。
反面、パッケージが6属性にまたがるためキーカードの【26-059R】リムレーンがいなければデッキがうまく機能しないというリスクもはらんでおり、構築のバランス感覚が試されるデッキとも言えます。そのうえで、一度盤面が完成すれば劣勢を容易に覆すほどのポテンシャルを有しており、リスクを背負ってでも選択するだけの価値があります。
8月の3大会すべてで1番人気、結果も優勝2回と、間違いなくメタゲームの中心に君臨するデッキとなっています。
③火氷【顕現】
「エオルゼア十二神」「氷風雷ソルジャー」に次ぐ3番手のポジションあたりにいるのが「火氷【顕現】」です。
■『MASTERS 2025 3rd season さいたま』準優勝:eureka デッキ:火氷顕現
フォワード 32
- 2 【24-009R】ジョシュア/Joshua
- 3 【24-028R】ジル/Jill
- 3 【26-005H】クライヴ/Clive
- 2 【26-013C】バイロン/Byron
- 3 【26-018H】フェニックス [XVI]/Phoenix (XVI)
- 2 【26-034L】ジル/Jill
- 3 【24-005L】クライヴ/Clive
- 3 【26-009L】ジョシュア/Joshua
- 2 【26-029R】シヴァ [XVI]/Shiva (XVI)
- 3 【24-001L】イフリート [XVI]/Ifrit (XVI)
- 3 【24-024R】シヴァ [XVI]/Shiva (XVI)
- 3 【25-023C】クラサメ/Kurasame
バックアップ 15
LBデッキ 8
『秘められた伝説』で登場した「顕現」ギミックはフォーマットを問わず活躍してきましたが、『深淵のガンスリンガー』で新たなカードが追加され、単一のデッキテーマとして成立するほど完成されたギミックに昇華されました。
顕現元となる「クライヴ」「ジョシュア」「ジル」を2種類ずつ採用できるようになり【24-001L】イフリート [XVI]や【24-024R】シヴァ [XVI]など強力な除去性能を持つ顕現先のカードへのアクセス性が向上し、より幅広いデッキに対応できるようになっています。
特に「エオルゼア十二神」を意識してゲーム序盤を重視している各種デッキに対して相性のよいポジションを確立しています。
これまで優勝という結果こそ残していないものの、上位への進出率も一定数あり多くのプレイヤーに支持されているデッキと言えるでしょう。
④火水
「火氷【顕現】」と似たポジションの除去デッキとして「火水」も注目です。
構築には大まかに、クリスタルギミックを採用しているタイプと【25-118H】ゴルベーザを採用しているタイプの2パターンが存在します。
■『MASTERS 2025 3rd season さいたま』ベスト4:ai_fftcg デッキ:火水クリスタル
フォワード 30
バックアップ 17
LBデッキ 8
■『MASTERS 2025 3rd season 奈良』準優勝:たるほ デッキ:火水ゴルベーザ
フォワード 32
- 3 【25-006L】クラウド/Cloud
- 3 【24-001L】イフリート [XVI]/Ifrit (XVI)
- 3 【26-005H】クライヴ/Clive
- 3 【24-006C】クライヴ/Clive
- 3 【26-014L】ファリス/Faris
- 3 【25-016R】ルビカンテ/Rubicante
- 1 【26-013C】バイロン/Byron
- 3 【26-120L】レナ/Lenna
- 3 【24-101C】ティーダ/Tidus
- 3 【25-089R】カイナッツォ/Cagnazzo
- 3 【25-061R】スカルミリョーネ/Scarmiglione
- 1 【25-047R】バルバリシア/Barbariccia
バックアップ 15
LBデッキ 8
どちらにも共通して【26-014L】ファリス&【26-120L】レナのパッケージと、【26-005H】クライヴ、【24-006C】クライヴ、【24-001L】イフリート [XVI]の顕現ギミックが採用されており、高い除去性能を有しています。
また、強力なLBカードである【24-126H】アルテマウェポンを採用できるのは他のデッキにない大きな強みとなっています。【25-118H】ゴルベーザを採用したパターンではLBデッキを高バリューのカードで使い切ることができるため、現在のL3構築環境でもっともLBデッキのポテンシャルが高いと言えるでしょう。
先述の「火氷【顕現】」との差異として、「火氷【顕現】」は相手のリソースを奪う手段が多いため対コントロールの適正が高く、「火水」はEXバーストの比率を高くしやすいためアグロ系のデッキへの適正が高いと考えられます。
⑤火氷雷【XIII】
『深淵のガンスリンガー』で登場した【26-098L】ライトニングを主軸とする【カテゴリ(XIII)】ギミックを軸としたアグロデッキも一定の活躍を見せています。
■『MASTERS 2025 3rd season 奈良』ベスト4:らいとにぃ デッキ:火氷雷FFXIII
フォワード 26
バックアップ 18
LBデッキ 8
【26-098L】ライトニングから【26-092H】セラにつなぐことで強引な打点生成が可能であり、リソースが少ない状況からでも勝ちを狙えるデッキの特性から、「エオルゼア十二神」のような準備にターンを必要とするデッキに対して優位性が高いデッキです。
『深淵のガンスリンガー』環境は今のところEXバーストがやや少ない傾向にあり、その点も追い風になっています。ただ環境に「火氷【顕現】」や「火水」といった除去デッキも少なくないため、安定した勝率を出すという面ではやや不安が残る印象です。
8月のまとめと『L3 Championship 2025』に向けた考察
8月の公式トーナメントでは「エオルゼア十二神」と「氷風雷ソルジャー」が高い使用率をたたき出しましたが、環境全体で見てみると幅広くデッキが分布していました。このことから、明確な環境の指針はあるもののどのデッキにもチャンスがある環境であることが読み取れます。
環境のテーマとなるのは、最大勢力「エオルゼア十二神」の特性である「準備に時間がかかる」という点でしょう。
リスク承知で「エオルゼア十二神」を使う側に回るのか?
「エオルゼア十二神」に準備をする時間を与えず倒す側に回るのか?
それとも、さらにそのデッキを狩り取る側に回るのか?
3つのポジションのどこで戦うかが重要なポイントになりそうです。そして、まだ見ぬデッキタイプが活躍する可能性も考えられます。奈良大会で活躍していた「氷水【クリスタル】」など、ここでは紹介しきれなかったデッキもまだまだあります。
『L3 Championship 2025』の前に行われるL3構築の公式トーナメントは、9月7日に開催される『MASTERS 2025 3rd season 高松』が最後です。この高松大会と、そこから『L3 Championship 2025』までの約1か月間でL3構築の環境はどのように推移するのか、次なる日本代表は誰になるのか、今後のメタゲームに注目していきましょう。