第495回:Decks of the Month 今月のデッキ(2025年6月)

 ライター・たるほさんによる、その月に活躍したデッキやメタゲームを解説するマンスリーコラム。
 第3回は『Standard Championship 2025』を終え、成熟期を迎えつつある6月のスタンダードを掘り下げます。

【今回のトピックス】

1. 5月に続き、6月も2種類のデッキが2大会連続で優勝!
2. 各デッキの特徴と、有力デッキに浮かび上がる共通項
3. 意欲的なデッキも飛び出すなか、環境の結末はどうなる!?

 みなさんこんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

 今回は6月に開催された『Standard Championship 2025』と『MASTERS 2025 2nd season』の横浜大会札幌大会鹿児島大会の結果をもとに『星の涙』シーズンのスタンダード環境について考察していこうと思います。

 終盤に差しかかったスタンダード環境のメタゲームはどのように変化しているのでしょうか? それではさっそく始めていきましょう!

6月の公式トーナメント優勝デッキの振り返り

 6月は、月をまたいで開催された『Standard Championship 2025』に加え、『MASTERS 2025 2nd season』もスタンダードで3大会行われました。
 『Standard Championship 2025』と『MASTERS 2025 2nd season』の横浜大会では「火風土水【光の戦士】」が優勝し、続く札幌大会と鹿児島大会では「FFIVユウナ」がこちらも連続優勝という結果になりました。
 同じデッキタイプが連続で優勝するというのは、奇しくも5月に「火水モンスター」「火氷水【騎士】」が展開した流れをなぞっています。

 まずは「火風土水【光の戦士】」「FFIVユウナ」、それぞれのデッキについて考えていきたいと思います。


①火風土水【光の戦士】


■『Standard Championship 2025』優勝:えあ  デッキ:光の戦士




■『MASTERS 2025 2nd season 横浜』優勝:はら  デッキ:光の戦士


 もはや説明不要と言っていい『FFTCG』を代表するコントロールデッキです。

 【ジョブ(光の戦士)】のバックアップの展開から立ち上がり、【19-102L】レフィア【19-128L】ウォーリアオブライトといった強力なフィニッシャーにつなげゲームを制圧していきます。4属性にまたがる広いカードプールを活かし、環境に適した対策カードによって幅広いデッキに対して戦えるという強みも持ち合わせています。

 『星の涙』環境の序盤は【25-104L】ユウナの登場でこれまでのオートアビリティを中心としたゲーム性が大きく変化したことにより息を潜めていましたが、『Standard Championship 2025』という大舞台でみごとに優勝を果たし、メタゲームに返り咲きました。

 具体的な変化として見られるのは【16-051L】セシル【20-075L】セシルが採用されるようになったことでしょう。これによりゲーム序盤から【20-075L】セシルをキャストして【16-051L】セシルにジョブチェンジし、【19-128L】ウォーリアオブライトをフィールドに送り出すことで【25-104L】ユウナに対してプレッシャーを掛けることが可能になっています。このギミックは、現在のデッキタイプが成立する以前にあった「火風土水ウォーリアオブライト」で採用されており、環境の変化とともに「火風土水【光の戦士】」へ逆輸入された格好です。 

 そして、採用されている召喚獣にも以前の環境から変化が見られます。これまでは【9-068H】ドラゴンで対応力を高くするのが主流でしたが、現在は「セシル」のぶんスロットを減らし、そのため【19-119L】ウネの採用も見送られています。

 『星の涙』シーズンの「火風土水【光の戦士】」は、【25-104L】ユウナへ対抗するためにデッキ全体がこれまでよりワンテンポ早く動けるようにチューニングされているようです。




②FFIVユウナ


■『MASTERS 2025 2nd season 札幌』優勝:ひれひれ(∵)  デッキ:FFIVユウナ




■『MASTERS 2025 2nd season 鹿児島』優勝:まっすー@あそくま  デッキ:FFIVユウナ


 5月のスタンダード環境でもすでに頭角を現していた「FFIVユウナ」ですが、『Standard Championship 2025』では準優勝、6月の『MASTERS 2025 2nd season』でも2度優勝と、その地位を確固たるものにしています。

 デッキの基本となる動きをおさらいしますと、序盤から【20-125R】ローザ【20-075L】セシルをキャストし、【20-075L】セシルのアクションアビリティで【16-051L】セシルにジョブチェンジして【カテゴリ(IV)】のキャラクターを展開していきます。

 【カテゴリ(IV)】には【15-011L】パロム【15-119L】ポロムといった強力なアクションアビリティを持つカードが多く、【25-104L】ユウナを使うデッキでありながら【25-104L】ユウナに対して隙を見せないのもデッキの強みと言えるでしょう。また【25-104L】ユウナの弱点である除去効果に対して【20-075L】セシルのアクションアビリティでさまざまな【カード名(セシル)】を合わせることで、器用に対応力を発揮することもできます。

 環境初期からさまざまな構築のパターンが試されてきましたが、ここにきて「風土水」が主流になっているようです。バックアップに採用されている【6-108R】イシュガルド教皇【11-072R】デシは安定してキーカードを供給できるだけでなく、【20-075L】セシルのオートアビリティでダメージを受けたときにEXバーストが発動すると、さらに爆発力が高まります。

 多くのプレイヤーの手によって構築が洗練されたことにより、「火氷水【騎士】」と並んで【25-104L】ユウナを使った代表格のデッキとして完成したと言って差し支えないでしょう。

注目が集まる【カテゴリ(IV)】ギミック

 ご紹介した「火風土水【光の戦士】」と「FFIVユウナ」には共通して、2種類の【16-051L】セシル【20-075L】セシルを採用した【カテゴリ(IV)】ギミックが採用されています。

 前回の考察で「2ターン目のフォワード展開に優れたデッキ」が現在のトレンドであると結論づけましたが、【カテゴリ(IV)】ギミックは「火水モンスター」や「火氷水【騎士】」のようにそれ自体が展開力のあるギミックであるだけでなく、一部を他のデッキに流用することで既存のデッキの強化パーツになるという点においても優秀なギミックと言えるかもしれません。

これから環境を賑わす!? 意欲的なアイデアデッキ

 これまで紹介してきたデッキ以外にも、今から注目しておきたいデッキがあります。なかでも個人的に注目しているのが、『Standard Championship 2025』でベスト8に入賞した「土雷水バッシュ」です。


■『Standard Championship 2025』ベスト8:てづかきよたか  デッキ:土雷水バッシュ


 使用者1名の完全オリジナルデッキでありながら、100名近い参加者の公式トーナメントで予選ラウンドを勝ち上がり、そのポテンシャルを見せつけています。デッキの核となる【カテゴリ(XII)】には8月8日に発売される『深淵のガンスリンガー』でも強力なカードが登場するので、環境を一歩先取ったデッキとなるかもしれません。

 また惜しくも決勝トーナメントには残れませんでしたが、予選ラウンドの上位には「古代人コンボ」なども残っており、可能性を秘めたデッキがまだまだ残されていることを予感させてくれます。

『星の涙』シーズンのスタンダード環境 終盤に向けて

 終盤に入ってきた『星の涙』シーズンのスタンダード環境ですが、有力なデッキである「火水モンスター」「火氷水【騎士】」「FFIVユウナ」「火風土水【光の戦士】」は共通した強みを持っています。このことから、メタゲームを制するための第1条件として「いかに有効にフォワードを展開できるか」がこの環境の大きなテーマだったと結論づけられるでしょう。

 残すところ、スタンダードでの『MASTERS 2025 2nd season』は7月の大阪・静岡・広島の3大会です。おそらくこの4つのデッキが優勝の最有力候補になると予想していますが、最後までどんなデッキが飛び出してくるのか確信を持つことはできません。

 春の訪れとともに始まった『星の涙』シーズンのスタンダード環境も残すところあと約1か月。成熟したメタゲームを制する環境の王はどのデッキになるのか? 来月の記事ではその答え合わせができればと思います。


 それではまた来月お会いしましょう!