第414回:『日本選手権 2023』トーナメントレポート

 10月28日と29日の2日間にわたり、東京・新宿のスクウェア・エニックス本社にて『日本選手権 2023』本戦が開催されました。

 4月の千葉予選を皮切りに、全国27会場で展開された予選で権利を獲得したトッププレイヤーたちによるシーズンの日本一を決定する大会であり、さらに『世界選手権 2023』への全世界で最後の1枠を争うトーナメントでもあります。

 権利者74名のうち68名ものプレイヤーが参加してくださり、日本一を決めるのにふさわしいトーナメントとなりました。大会のレポートをトップ12のデッキリストとあわせてお届けいたします。


【配信アーカイブはこちら】
大会1日目[予選ラウンド]
大会2日目[決勝トーナメント] 

1日目【予選ラウンド】

 本戦のフォーマットは2デッキスタンダードで、予選ラウンドは前半の1~4回戦でデッキA、後半の5~8回戦でデッキBを使用してのスイスドロー8回戦で行なわれました。

 68人×2、合計136個のデッキ分布は画像のとおりになりました。1番人気は『英雄の夜明け』環境で人気を集め続けた「氷雷」で、使われるデッキの幅が広いフォーマットにおいてダル凍結や手札破壊による対応力の高さが評価されたようです。

 それに続いたのは「火雷FFXIII」です。『英雄の夜明け』環境ではそれほど目立った活躍を見せられませんでしたが、速攻デッキの代表格であり、長丁場のトーナメントに向いています。とりわけ予選ラウンドは(タイブレークの仕様上)前半のデッキAで3勝1敗以上は確保しておきたいため、デッキAで習熟してきたデッキを使い、デッキBは使いやすくてある程度の勝ちを見込める「火雷FFXIII」、という選択を取ったプレイヤーも多かったようです。そして実際に決勝トーナメントでは最多のデッキになっており、環境の最後で存在感を発揮しました。

 そのほかで使用数が2ケタに乗っていたのは「4属性WoL」と「モールズの夜会」のいずれも【19-128L】ウォーリアオブライトを使ったデッキです。「4属性WoL」は『JAPAN CUP 2023』も制している言わずと知れた有力デッキであり、「モールズの夜会」はジョブデッキなので召喚獣の被りさえケアできればもう片方のデッキの自由度が増します。

 また、公式トーナメントではこの大会から使用可能となった『DISSIDIA FINAL FANTASY コレクションセット 2023』の新カードもさっそく採用されており、「火風水光の戦士」デッキは決勝トーナメントにも進出する結果を残しました。

 スイスドロー8回戦が終了し、7勝1敗の2名と6勝2敗の8名、そして5勝3敗からタイブレークの上位2名が翌日の決勝トーナメントを争うことになりました。

 この時点での結果で特筆すべきは7勝1敗の2名、予選1位のenchabiさんと2位のらいとにぃさんが持ち込んだデッキで、なんとお2人とも「火雷FFXIII」と「火雷FFXIV」というまったく同じ属性どうしでの組み合わせでした。このほかにもトップ12の2デッキは同じ属性を採用した組み合わせが多く見られ、カードプールの拡大により「極力2つのデッキで異なる属性を使う」という2デッキスタンダードのセオリーはもはや過去のものとなっているようです。

▲トップ12の顔ぶれ

2日目【決勝トーナメント】


 大会2日目の決勝トーナメントはデッキリストをすべて公開のうえ、2本先取で行なわれました。デッキは自由に選択できますが、1回勝利したデッキはそのマッチでは使用できません。


1回戦(結果)

チョココロネ 2-1 ミスティアーナ
4属性WoL × - ○ 氷雷
氷土水ヒッポカムポス ○ - × 氷水
4属性WoL ○ - × 氷水

しらたま 2-1 はら
火氷雷FFVI × - ○ 氷風
火雷FFXIII ○ - × 氷土
火氷雷FFVI ○ - × 氷土

しど 2-0 たるほ
火風水光の戦士 ○ - × 氷雷
風土 ○ - × 4属性WoL

ai_fftcg 2-1 しゆ
氷風 × - ○ 氷風
氷風 ○ - × 土水ヒッポカムポス
モールズの夜会 ○ - × 土水ヒッポカムポス
 

準々決勝(結果)

チョココロネ 2-0 らいとにぃ
4属性WoL ○ - × 火雷FFXIV
氷土水ヒッポカムポス ○ - × 火雷FFXIV

しど 2-1 居ないヒト
火風水光の戦士 ○ - × 火雷FFXIII
風土 × - ○ 火雷FFXIII
風土 ○ - × 火単

ザワワ 2-0 しらたま
火雷FFXIII ○ - × 火氷雷FFVI
氷雷 ○ - × 火雷FFXIII

enchabi 2-1 ai_fftcg
火雷FFXIV ○ - × モールズの夜会
火雷FFXIII × - ○ モールズの夜会
火雷FFXIII ○ - × 氷風

ベスト12・ベスト8 デッキリスト

※リスト内のカード名は、クリックするとカード画像が表示されます。



準決勝

ザワワ(デッキA:氷雷/デッキB:火雷FFXIII)

チョココロネ(デッキA:氷土水ヒッポカムポス/デッキB:4属性WoL)


 1番人気と2番人気のデッキで堅実に勝ち上がってきたザワワさんと、新興の「氷土水ヒッポカムポス」と「4属性WoL」で多属性のデッキを組み合わせてきたチョココロネさんによる、関西の有力プレイヤーどうしでの対戦となりました。

[1ゲーム目 「火雷FFXIII」対「4属性WoL」]
 予選ラウンド上位で先攻を取ったザワワさんはもちろん「火雷FFXIII」を選択し、2ターン目に【19-137S】ホープ【19-138S】ライトニングでアタック、【20-088L】エスティニアンをデジョンする鋭いスタートを見せます。チョココロネさんはバックアップを並べながら【20-075L】セシルを出して【19-128L】ウォーリアオブライトのキャストによる反撃を狙いますが、デッキから出てきた【16-051L】セシルにザワワさんの【12-002H】アマテラスが突き刺さり、4体目のバックアップを置くことができません。そのまま押し込んだザワワさんが1ゲームを先取しました。

[2ゲーム目 「氷雷」対「氷土水ヒッポカムポス」]
 チョココロネさんもデッキをスイッチし、2ターン目に【11-124H】リルムから【16-043H】アトモス【19-038R】エフレイエを出し、続くターンに【4-043C】プリン【4-043C】プリンをサーチしてリソースを伸ばしていきます。対するザワワさんは【18-019R】ヴァイス【20-040L】ルーファウスで手札とバックアップを攻め、チョココロネさんのリソースを少しでも削ろうとします。莫大なリソースを得たチョココロネさんは【20-127L】神竜【19-112C】ラーケイクス【20-110H】ヒッポカムポス【15-028H】ゴゴと怒涛の展開でフィールドを埋めていきますが、ここまでじっと我慢を続けていたザワワさんはコストの下がった【20-127L】神竜をキャスト。スペシャルアビリティ「タイダルウェイブ」を受けたくないチョココロネさんはたまらずサーチ効果にスタックして【20-110H】ヒッポカムポス【15-028H】ゴゴの合わせ技で【20-127L】神竜を対処しますが、ザワワさんはサーチした2枚目の【20-127L】神竜で3枚目の【20-127L】神竜をサーチして「タイダルウェイブ」を発動。【20-110H】ヒッポカムポスもろともチョココロネさんの盤面が壊滅してしまいます。続くターンに【17-091L】エクスデスできっちり反撃の芽を摘み取ったザワワさんが2連勝で決勝に駒を進めました。



しど(デッキA:火風水光の戦士/デッキB:風土)

enchani(デッキA:火雷FFXIII/デッキB:火雷FFXIV)


 チームマナソース謹製の、先述したとおりまったく同じ属性を採用した「火雷FFXIII」と「火雷FFXIV」の組み合わせ(通称「FF27」)でみごとに予選を1位通過したenchabiさんと、こちらも先述の『DISSIDIA FINAL FANTASY コレクションセット 2023』の新カードをさっそく活用した新機軸の「光の戦士」デッキで勝ち上がり自身2度目となる代表を目指すしどさんの対戦となりました。

[1ゲーム目 「火風水光の戦士」対「火雷FFXIII」]
 予選上位で先攻を得たenchabiさんは1ターン目に【19-129S】ヴァニラ【19-137S】ホープをキャストし、【19-138S】ライトニングをサーチするお決まりのルートをたどれる手札でしたが、【21-134S】バッツからの【21-127S】フリオニール【19-129S】ヴァニラを対処されプランが崩れてしまうことを嫌い【13-085R】ルミナを経由して【19-137S】ホープをキャストする安全なルートを選択します。しどさんがバックアップを1体キャストしてターンを返したところで【19-129S】ヴァニラ【19-138S】ライトニングと展開して攻撃をしかけますが、手札を1枚切っての【9-114C】不浄王キュクレインによって【19-138S】ライトニングのアビリティが消され【19-137S】ホープで1点を与えるのみとなりました。enchabiさんはターンさえ返ってくればもう一度攻撃をしかけられる態勢でしたが、ここでしどさんがキャストしたのはデッキに1枚しかない【20-007L】鬼神! 「ルシ」の指定ですべてのフォワードを失ったenchabiさんがなんとか立て直すころには盤石の手札と盤面を完成させていたしどさんが1ゲーム目を先取します。

[2ゲーム目 「風土」対「火雷FFXIV」]
 再び先攻のenchabiさんが2ターン目に【20-090H】グ・ラハ・ティア【20-086H】アリゼーを呼び出し、1ターン目に【5-120C】ルイゾワでサーチしていた【12-004R】アルフィノを吊り上げて【17-016L】ヒエンをサーチと、見えている情報だけで次のターンの8ダメージが確定している強烈な展開を見せます。しどさんは多少デッキを掘ってみるものの、バックアップ1体から7キャストに届くはずもなく、せめてものブロッカーとして【16-135S】ルールーを出してターンを返します。【16-135S】ルールーを除去できないenchabiさんは与えられるだけのダメージを与えるべくアタックをしかけますが、最初に攻撃に向かった【20-086H】アリゼー【16-135S】ルールーと相打ちしたことで【カテゴリ(XIV)】のキャラクターが4体になり、【17-016L】ヒエンがヘイストを失ったことで打点が大幅に減ってしまいました。思わず頭を抱え込むenchabiさんでしたが、続くターンでしどさんが【17-063R】ルッソの全体8000ダメージに到達することはなく、無事にゲームを取り返しました。

[3ゲーム目 「風土」対「火雷FFXIII」]
 enchabiさんの後攻2ターン目の【19-138S】ライトニングを含むフォワード3体でのアタックをしどさんが甘んじて受け、3ゲーム目にして初の先攻ということもありバックアップ3体に加えて【16-043H】アトモスまで並んだ状態でターンが返ってきます。多少の不確定要素はあれどおおむね7キャストはできそうなリソース量ですが、ここで気がかりなのがenchabiさんのデッキにしっかり3枚取られた【12-002H】アマテラス。しどさんはどこで割り込まれても問題がないように慎重にキャストを稼ぎ始めます。そして無事にキャスト回数は7を超え、ブレイクゾーンの【17-063R】ルッソを回収するために【12-061L】クルルのオートアビリティで【2-049H】アスラを選んだところでついに【12-002H】アマテラスが飛んできました。しかししどさんの手札には【9-068H】ドラゴン! enchabiさんのフォワードを一掃したしどさんが、そのまま丁寧に盤面を制圧しきって3ゲーム目を獲得しました。  

ベスト4 デッキリスト


決勝

ザワワ(デッキA:氷雷/デッキB:火雷FFXIII)

しど(デッキA:火風水光の戦士/デッキB:風土)



 4月から始まった『日本選手権 2023』のラストマッチ。予選を「氷雷」で通過して以降もデッキを磨き上げ続けてきたザワワさんと、Spring・Summer・Autumnの予選3シーズンすべてでトロフィーを獲得してきたしどさんによる最終決戦となりました。

[1ゲーム目 「火雷FFXIII」対「火風水光の戦士」]
 予選上位で先攻のザワワさんは【18-013R】ファング【19-137S】ホープの好スタートを切りましたが、しどさんは返しのターンで【21-131S】ウォーリアオブライト【18-012L】ファリスと並べ、ダメージ能力で【18-013R】ファングを落とします。ザワワさんも次のターンで【19-138S】ライトニングを出してアタックするものの、しどさんの【18-012L】ファリスがフィールドに居座るのを許してしまい、そこから毎ターンフォワードを削られる厳しい展開になってしまいます。ようやく【19-124L】ヤ・シュトラ【18-012L】ファリスを退場させるものの、直後にしどさんが【7-114H】セーラ [FFL]で再び【18-012L】ファリスをサーチしたところで投了。しどさんが後攻のゲームをしのいで日本一へ先に王手をかけました。

[2ゲーム目 「火雷FFXIII」対「風土」]
 ザワワさんは再び先攻ということで「火雷FFXIII」を選択し、【19-137S】ホープ【19-129S】ヴァニラの2体展開とこれまた好スタート。対するしどさんはデッキ相性的に厳しそうで、苦しい表情を見せながら【8-058R】ノルシュターレンを置くのみでターンを終えます。2ターン目に【19-138S】ライトニングも加わったザワワさんのフォワード陣から4ダメージを受け、しどさんは解決策となる【17-063R】ルッソの7キャストを目指して動き始めますが、4枚キャストしたところで動きが止まってしまいます。そのままザワワさんの「ルシ」たちが駆け抜け、決着は最終戦に持ち越されました。

[3ゲーム目 「氷雷」対「風土」]
 先攻を得たしどさんの初手【8-058R】ノルシュターレンに対し、ザワワさんは【16-041C】ユウナレスカ【18-028C】ネロを並べます。デッキのエンジンとなる【11-073H】テテオを2ターン目に出したしどさんですが、返しの【18-019R】ヴァイスで凍結されて思うように動けません。無理やり【2-049H】アスラでバックアップを起こしてから【11-072R】デシ、サーチした【14-057H】ローザとキャストして、手札を犠牲にしてでも急いで盤面を整えていくプランを取ります。ザワワさんは続くターンでコスト1になった【16-030L】シャントット、回収した【13-028L】ファイサリスと軽快な動きで再び【11-073H】テテオを凍結しつつ手札を補充し、さらにリソース差を広げていきます。しどさんのドローがかみ合わずそのままエンドしたところでザワワさんは【16-041C】ユウナレスカと引いてきた【18-117H】ライトニングのアクションアビリティでその2枚を捨てさせ、毎ターン2枚ディスカード&バックアップ凍結という状況が完成。しどさんは身動きが取れなくなってしまいます。ザワワさんの【21-036H】ヤ・シュトラ【14-057H】ローザを吹き飛ばしたところでしどさんが手を差し出し、2日間の熱戦に決着が訪れました。  



 ザワワさんが日本一に輝き、『世界選手権 2023』出場権利の最後の1枠を獲得しました。おめでとうございます!!!

ファイナリスト デッキリスト


 『日本選手権 2023』本戦のレポートをお届けしました。4月からの予選も含め、大きなトラブルなく全日程を消化できたのは皆さまのご協力のおかげであり、あらためて感謝申し上げます。2019年以来の『世界選手権 2023』に向けて走り続けてきた今シーズンも、残すはその『世界選手権 2023』のみとなりました。配信などでも大会のもようをお届けできるよう準備を進めておりますので、4人目の世界王者が誕生する瞬間をぜひ見届けてください。


 そして、来シーズンの公式トーナメント『第五期 名人戦』は『世界選手権 2023』の翌週からスタートします。全国10地区で予選を行ない『第五期名人位決定戦』は2月24日にスクウェア・エニックス本社での開催を予定しています。次なるシーズンの公式トーナメントでも、皆さまのご参加をお待ちしております!  


▲ベスト4:enchabiさん

▲ベスト4:チョココロネさん

▲準優勝:しどさん

▲優勝:ザワワさん