第529回:Decks of the Month 今月のデッキ[特別編『世界選手権 2025』優勝・えあさんインタビュー]

 ライター・たるほさんによる、その月に活躍したデッキやメタゲームを解説するマンスリーコラム。
 今回は特別編として、12月の『世界選手権 2025』を優勝されたえあさんにインタビューを行いました。

 みなさんこんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

 今回は先日開催された『世界選手権 2025』をみごとに優勝し、新たな世界チャンピオンに輝いた ”Air” こと、えあさんにインタビューを行いました。

 えあさんはいかに『世界選手権 2025』に挑み、優勝を勝ち取ったのか。インタビューで深掘りしていきたいと思います。

「光の戦士」マスターが世界の"Air"へ

――このたびは『世界選手権 2025』優勝おめでとうございます。まずは新チャンピオンに、今のお気持ちからうかがいたいと思います。

えあ: ありがとうございます。優勝できたことを素直にうれしく思っています。


――えあさんにとっては初めての『世界選手権』の舞台でしたが、実際に世界の強豪プレイヤーと戦ってみていかがでしたか?

えあ: 言語によるコミュニケーションの壁があるんじゃないかというのが一番の不安でしたが、大会中にそうした点で不自由することはなかったです。言葉はわからなくても、お互いに『FFTCG』を理解しているからわかることがあったというか、共通の文化があることで言葉の違いを乗り越えてコミュニケーションがとれたと思います。



――『FFTCG』という共通言語でコミュニケーションが成り立つというのは、カードゲームならではの感覚かもしれませんね。
今回えあさんはデッキAには「水単」、デッキBには自身の代名詞とも言える「火風土水【光の戦士】」を使用されました。今回のデッキ選択のポイントについて教えてください。

[えあさんのデッキを含め、トップ8のデッキリストはこちらのページに掲載しています]


えあ: まずは「火風土水【光の戦士】」を使いたい」というのが念頭にあり、2デッキスタンダードでうまく共存できる相方を探した結果「水単」にたどり着きました。


――信頼のおける相棒を軸にデッキを決めたわけですね。そんな「火風土水【光の戦士】」ですが、今回はいわゆる【バッツ】型を使用されています。この構築に至った経緯をうかがいたいです。

えあ: なんといっても「発見の旅路」で新たに登場した【27-061C】クルルの存在が大きいです。このカードによって【22-049H】バッツへのアクセス性が格段に向上し、スペシャルアビリティの「じくう」から展開しやすくなりました。全カードリストが公開された時点で【バッツ】型で行こうというのは決まっていて、それを調整して持ち込んだ感じです。


――えあさんの構築では【22-049H】バッツが3枚に【16-128H】バッツが1枚と、【バッツ】の総枚数がやや少なめに感じますが、これはどういった理由からでしょう?

えあ: 現在の環境では「火氷水【騎士】」や「火水【戦士】」、【24-061L】バッシュで展開する「風土【空賊】」など、フォワード主体のデッキが多く見られます。こうしたデッキに【1-107L】シャントットで対抗しようと考えた場合、コストとなる土属性のカードのスロットを確保する必要がありました。そのための【11-072R】デシを採用するために【バッツ】の枚数を減らしたという流れです。


――【26-120L】レナも最近追加されたカードですが、フォワードとバックアップの両方で【レナ】を採用したのは【21-119H】レナのスペシャルアビリティ「レイズ」の弾となる点を見越してですか?

えあ: もちろんそれもありますが、水属性の【ジョブ(光の戦士)】のサーチ先として優秀な点を評価して採用しています。【22-049H】バッツ「じくう」で出した場合も実質2コストのカードとして優秀です。


――【バッツ】型の強みは残しつつ、汎用性も求めた結果が今回の構築だったというわけですね。
相方となる「水単」はかなりポピュラーな構築に見えますが、「火風土水【光の戦士】」の相方として「水単」が優れていた点はどういったところにあったのでしょう?

えあ: ひとつは先ほど話したとおり、デッキのパーツが「火風土水【光の戦士】」とうまく共存できるという点です。単純なデッキとしてのポテンシャルも高く、バックアップを伸ばして【18-086H】アーシェを軸に戦ったり、「火氷水【騎士】」のような速いデッキに対しても【18-100L】レナ【14-102L】海神リヴァイアサンという回答が用意できていて、幅広いデッキと戦えるポテンシャルの高さも魅力的でした。これにより「火風土水【光の戦士】」が苦手とするタイプのデッキもカバーできたので、相性を補完する意味合いでも優秀だったと考えています。


――デッキAを「水単」、デッキBを「火風土水【光の戦士】」に据えたのにはどういった考えがあったのでしょう。

えあ: 相棒である「火風土水【光の戦士】」を予選ラウンドの後半戦で使いたかったのが主な理由です。世界の強豪が集まる『世界選手権』で、序盤戦を勝っていけばさらに成績のよいプレイヤーとマッチするわけですから、自信を持って戦えるデッキを持ち込みたいなと考えていました。


――『世界選手権 2025』は「発見の旅路」発売後、最初の公式トーナメントという点でも注目されていたと思いますが、メタゲームはどのようになると予想されていましたか?

えあ: 先ほども少し触れましたが、序盤からフォワードを展開してくるデッキが多いと予想していました。その中でも特に「火氷水【騎士】」+αという組み合わせを持ってくるプレイヤーが多いだろうと思っていました。基本的にこの予想は大きく外れていなかったと思いますが、決勝トーナメントでは「火水」や「火氷」などの【戦士】デッキがより成績を残していましたね。


――大会に向けて調整されていたかと思いますが、どのような取り組みをされましたか?

えあ: 今回は同じく日本代表のありかさん、aaaaさんとチームとして調整を行いました。といっても基本的にはそれぞれが関心を持ったデッキを調整して、デッキを共有して持ち込もうという感じではありませんでした。ただそれぞれ視点は違っていても同じ目的で調整を進められたと思うので、チームとして非常に有意義な活動ができたと思います。2人には感謝してもしきれないです。

――最後に新チャンピオンとして一言あればお願いします。

えあ: 今回、幸運にも『世界選手権 2025』で優勝という結果を収めることができました。ですが、国内ではすでに『第七期 名人戦』も始まっています。今回の結果に満足することなく、これからも『FFTCG』に取り組んでいきたいと思います。

 というわけで今回は『世界選手権 2025』チャンピオンのえあさんへインタビューを行いました。

 信じ続けた相棒のデッキとともに世界へ挑み、みごとに優勝を果たした姿はカードゲーマーとして尊敬の一言です。インタビューではえあさんらしいストイックさも随所に出ていたのではないかと思います。あらためてえあさん、『世界選手権 2025』優勝おめでとうございます!


 2025年の連載記事はこれがラストです。おかげさまで公式サイトでの連載を今年の4月からスタートすることができまして、読んでくれたり協力してくれた皆さまありがとうございました。
 2026年もさらにたくさんの記事をお届けできたらと思いますのでよろしくお願いします!


 それではまた来月の記事でお会いしましょう。