第426回:『第五期名人位決定戦』トーナメントレポート

 2月24日、東京・新宿のスクウェア・エニックス本社にて『第五期名人位決定戦』が開催されました。
 全国10会場で展開された地区予選で権利を獲得したトッププレイヤーによる、5代目となる"FFTCG名人"の称号を懸けたトーナメントです。
 権利獲得者の約9割にのぼる43名のプレイヤーが参加した大会のレポートを、トップ8のデッキリストとあわせてお届けします。

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予選ラウンド

 これまで2デッキ制で行なわれてきた『名人位決定戦』ですが、今回はスタンダードの1デッキ制によるワンデートーナメントということで、「運命を超えて」環境の総決算という位置づけの大会となりました。

 「4属性WoL」「光の戦士」などの【19-128L】ウォーリアオブライトを擁する多属性デッキと、環境の多属性化を背景に勢力を伸ばしてきた【16-129L】カオス【19-105H】アークで戦う「雷単」「土水」といった「カオスアーク」系デッキという2つの軸を中心にメタゲームが変遷してきた「運命を超えて」環境ということで、『第五期名人位決定戦』でもそのどちらかに属するデッキが人気を集めました。

 しかしスイスドロー6回戦を終えて全勝はありかさんの「氷単」、そしてトップ8に残った多属性デッキは「光の戦士」と「コスト3WoL」が1名ずつ、「カオスアーク」に至ってはゼロという、『第五期 名人戦』の地区予選からは想像のつかない結果となりました。環境の軸が明確だったぶん、トッププレイヤーにとっては仮想敵を見定めやすく、この大会でのメタゲームを読んで調整されてきたデッキが結果を残したようです。中でもKakkaさん、eurekaさんというトッププレイヤー2名を決勝トーナメントに送り込んだ「風単」は「運命を超えて」環境では比較的鳴りを潜めていた印象ですが、ここに来て吹いた風をみごとに捉えました。

▲トップ8の顔ぶれ

準々決勝(結果)


ありか(氷単) 2-1 えあ(光の戦士)

わらび餅抹茶(風水) 2-0 Kakka(風単)

eureka(風単) 2-1 ミスティアーナ(火雷FFXIV)

Kurosawa(コスト3WoL) 2-1 ぱっつぁん(火単マギサ)

準決勝

Kurosawa(コスト3WoL)対 ありか(氷単)

 気鋭のデッキビルダーで知られるありかさんがチューンナップし、予選ラウンドを唯一の全勝で勝ち上がってきた「氷単」と、言わずと知れた2019年世界王者のKurosawaさんが握る「コスト3WoL」の対戦になりました。【21-121L】ウォーリアオブライトによる爆発的な展開を「氷単」が封じ込め続けられるかが鍵となります。

[1ゲーム目]
 先攻のありかさんは「氷単」の代名詞と言える【18-028C】ネロ【18-019R】ヴァイスのコンボで動きを阻害にかかりますが、【21-121L】ウォーリアオブライトの展開を許してしまいます。そのまま【18-012L】ファリスでフィールドを制圧したKurosawaさんが速やかに詰めきって1ゲーム目を先取しました。

[2ゲーム目]
 再び先攻のありかさんは【18-028C】ネロを引くことこそ叶いませんが、【16-041C】ユウナレスカ【18-019R】ヴァイスで疑似的に動きを再現して封じ込めを図ります。しかしKurosawaさんはあわてることなく、サーチ手段の多さによる動きの安定性を活かして【21-121L】ウォーリアオブライトを難なくキャスト。ドローゴーで耐え忍ぶしかないありかさんに対し、【18-107L】アクスターとすべての条件を満たした【14-023L】ギルガメッシュ [FFBE]で押し込んだKurosawaさんが勝利し、決勝に駒を進めました。



eureka(風単)対 わらび餅抹茶(風水)

 環境の最後で復活した「風単」のeurekaさんと、環境終盤から頭角を現してきたモンスター軸の「風水」を操るわらび餅抹茶さんの対決です。互いのデッキの性質上ロングゲームが予想されるため、1ゲーム目の攻防がマッチの行方を大きく左右しそうです。

[1ゲーム目]
 両者ともまずはバックアップを5体展開し、先に動き出したわらび餅抹茶さんが少しずつモンスターを展開しながら【21-102L】ガウのアビリティでフォワード化させてダメージを刻んでいきます。対するeurekaさんは【20-127L】神竜で対策カードの【19-035R】アレキサンダーをサーチし、それを【16-135S】ルールーで再利用する流れでモンスターたちをブレイクしていき、大ダメージは許しません。互いに決定的な攻め手に欠ける状況が続き、勝負はデッキの残り枚数次第になろうかというところで決定打となったのはeurekaさんの【16-048H】ジタンでした。相手のデッキから奪ったカードがデッキ切れによる勝敗を分け、eurekaさんが大熱戦を制しました。

[2ゲーム目]
 1ゲーム目の終了時点で60分近くが経過しており、わらび餅抹茶さんとしては残された時間で取り返さなければなりません。しかし1ゲーム目と同様モンスターによる攻勢を柔軟にしのがれ続けたまま80分の制限時間が終了。延長ターンでも決着には至らず、1ゲーム目を取っていたeurekaさんがマッチでの勝利を収めました。  

決勝

eureka(風単)対 Kurosawa(コスト3WoL)


 『FFTCG』のトーナメントシーンで知らぬ人のいないトッププレイヤーによる対戦となりました。Kurosawaさんは『世界選手権 2019』、eurekaさんは2020年から2021年にかけて開催されていたオンラインでのトーナメント『自宅名人戦』の主要な決勝大会で軒並み優勝という結果を残してきましたが、どちらが勝ってもリアルでの"FFTCG名人"の称号の獲得は初となります。

[1ゲーム目]
 まずはKurosawaさんが2ターン目に【21-121L】ウォーリアオブライトをキャストして派手に号砲を鳴らしますが、出てきたのは【21-001R】ウォード【18-125H】オニオンナイトで少し物足りなさそうな表情を浮かべます。eurekaさんは静かにバックアップを並べ、3点のダメージを許しつつ態勢を整えます。
 次のターン、eurekaさんはコストの下がった【20-127L】神竜をキャストし、Kurosawaさんはスペシャルアビリティを使わせまいと【9-114C】不浄王キュクレインで阻みます。それを見たeurekaさんはサーチ対象を【10-055H】チョコボに切り替え、アビリティを失った【20-127L】神竜を手札に戻して再利用するプランに切り替えます。仕切り直して【17-063R】ルッソをサーチし、そのまま7回キャストのアビリティで脅威を一掃……と思いきや、Kurosawaさんの【12-002H】アマテラスに弾かれてしまいます。
 大きな攻防を制したKurosawaさんがダメージを6点まで積み上げてそのまま勝利するかと思われましたが、返しのターンにeurekaさんの手札から出てきたのは2枚目の【20-127L】神竜! ほぼ唯一の解決策を引き当てたeurekaさんが「タイダルウェイブ」でフィールドの状況を一変させます。手札を使い切っていたKurosawaさんに反撃の余力はなく、eurekaさんが名人に王手をかけました。

[2ゲーム目]
 Kurosawaさんは2ターン目に【21-121L】ウォーリアオブライトをキャストという1ゲーム目と同じ立ち上がりで、【21-004L】カイエン【21-006C】侍を出して今度はバックアップを優先する構えを取ります。その動きを見たeurekaさんは【20-052C】ナッシュ【12-099R】セーラ [FFL]をブレイクし、バックアップの数的ギャップから優位を作ろうとしていきます。
 その後の3ターンでいくつかの攻防を経て、Kurosawaさんはまたもeurekaさんをダメージ6点まで追い込みますが、今度はこの時点ですでにeurekaさんの迎撃態勢が仕上がっていました。【20-127L】神竜からの「タイダルウェイブ」で敵陣を一層し、【6-058R】モーグリ [XI]【18-045C】ドリュアスをサーチしてヘイスト持ちフォワードによる不意の1点に備えます。Kurosawaさんも再度の【21-121L】ウォーリアオブライト【14-023L】ギルガメッシュ [FFBE]、続けざまに【21-010H】タイヴァスとなんとか1点をねじ込もうと試みますが、【18-045C】ドリュアス【16-135S】ルールーで使い回される状況ができあがってしまい万事休す。そのままeurekaさんのフォワード陣が7ダメージを取り切りました。  



 eurekaさんが5代目"FFTCG名人"の称号に輝きました。おめでとうございます!!!

▲準優勝:Kurosawaさん

▲ベスト4:ありかさん

▲ベスト4:わらび餅抹茶さん



 恒例の『名人戦』が終了し、4月からは「秘められた希望」環境での、そして「Limit Break」が参戦する新たなシーズンに移り変わります。日本国内では『世界選手権 2024』につながる公式トーナメント『MASTERS 2024』がスタートします。まもなくさまざまな情報をお届けできますので、もう少しお待ちください。

 2024シーズンの公式トーナメントでも、皆さまのご参加をお待ちしております!  

『第五期名人位決定戦』トップ8デッキリスト

※リスト内のカード名をクリックするとカード画像が表示されます。