第339回:『第四期名人位決定戦』トーナメントレポート

 2022年9月10日と11日の2日間にわたり、東京のスクウェア・エニックス本社にて『第四期名人位決定戦』が開催されました。

 5月から7月にかけて全国10か所で開催された『第四期 名人戦』の地区予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる、その年の『FFTCG名人』を決定する大会です。新型コロナウィルスの影響によりなかなか開催を確定できない状況が続きましたが、権利者のほとんどである40名のプレイヤーにご参加いただきました。皆さまありがとうございました。

 ここでは2日間の熱戦のもようを、トップ12の全プレイヤーのデッキリストとあわせてお届けいたします。


『第四期名人位決定戦』生放送のアーカイブはこちら

 1日目[ホビージャパンゲームメディア チャンネル]
 2日目[スクウェア・エニックス公式]

予選ラウンド

 9月10日には予選ラウンドのスイスドロー6回戦が行われました。

 大会のフォーマットは『名人位決定戦』では恒例となっている「2デッキスタンダード」で、2つのデッキを用意してラウンドの前半と後半で切り替えて使用します。片方のデッキに採用したカードはもう片方のデッキには使うことができません。「反撃の雄たけび」の発売、そして【14-116H】マシュリーが新たに禁止カードに制定されてから初の公式トーナメントということもあり、どのようなデッキが結果を残してくるのかに注目が集まっていました。


 合計80個のデッキで使用数トップとなったのは「モールズの夜会」デッキ(10個)でした。参加者の4人に1人が選択したことになります。「光の使者」環境の中盤以降からめきめきと頭角を現わしてきたデッキで、ジョブを活かした骨太な動きと、自由なスロットで構築に幅を持たせられる点が依然として人気を集めたようです。「反撃の雄たけび」の新カードでは、フォワードでの攻防を有利にしてくれる【17-065H】アシェラなどがよく採用されていたようです。

 使用数でそれに続いたのが「風単」と「風氷」(各9個)でした。どちらのデッキもドローとキャラクターをアクティブにする効果でキャスト回数を稼いでビッグアクションを起こしていくタイプのデッキで、「反撃の雄たけび」ではキャスト回数をフィールドの制圧に活用できる【17-063R】ルッソなどの強力なカードを手に入れました。

 以降は【17-016L】ヒエンなどの加わった「火単侍」(7個)、各属性でパワーカードが増えた「土雷」(6個)、【16-126R】レオを活かすタイプが中心の「水雷」(6個)、【17-113L】グラセラ・ウェズエットを採用した「水氷」(4個)と続いていきます。デッキ全体の4割程度は使用数が3個以下のタイプとなっており、プレイヤーごとの志向やパーソナリティも存分に印象に残った予選ラウンドとなりました。


 全勝者のいない拮抗した6回戦となりましたが、言わずと知れた強豪プレイヤーから、全国大会では初の決勝トーナメント進出を果たした新星まで、バリエーションに富んだ12名が"第四期名人"の称号を懸けて2日目に挑むこととなりました。

決勝シングルエリミネーション 1回戦/準々決勝


 翌9月11日には決勝のシングルエリミネーション4回戦(予選ラウンドの上位4名は1回戦はシード)が行なわれました。

 デッキリストがすべて公開され、1ゲーム目の先攻/後攻の選択権がどちらにあるかもわかっているという状況で使用するデッキを選ぶという、普段とはベクトルの異なる駆け引きを求められるのが「2デッキスタンダード」での決勝トーナメントとなります。トップ4までの結果は以下のとおりとなりました。

1回戦(結果)

kakka 2 - 1 たるほ
ちょーぎょーじ 2 - 0 まっすー@あそくま
ハリガイ 2 - 0 holy
ヒロ 2 - 1 らっちょ



準々決勝(結果)

kakka 2 - 0 aaaa
ちょーぎょーじ 2 - 1 レオン
ハリガイ 2 - 0 えあ
ぬるた 2 - 1 ヒロ

ベスト12/ベスト8 デッキリスト

※リスト内のカード名は、クリックするとカード画像が表示されます。



■ベスト12:たるほ(予選5位)

デッキA:火土アバランチ

デッキB:風水FFX

■ベスト12:らっちょ(予選9位)

デッキA:水氷

デッキB:風単

■ベスト12:holy(予選12位)

デッキA:水雷レオ

デッキB:忍者

■ベスト8:レオン(予選1位)

デッキA:火土水

デッキB:風土スカリー

■ベスト8:えあ(予選3位)

デッキA:風氷

デッキB:水雷レオ

■ベスト8:aaaa(予選4位)

デッキA:モールズの夜会

デッキB:水雷バイキング

■ベスト8:ヒロ(予選11位)

デッキA:風単

デッキB:水氷

準決勝


ハリガイ(火土水/風氷) 対 ぬるた(風氷/火土アバランチ)

[1ゲーム目]ハリガイ「火土水」 対 ぬるた「風氷」
先攻のぬるたさんは【8-058R】ノルシュターレンからスタートし、バックアップを順調に展開できそうな初動となりますが、対するハリガイさんはいきなり【15-083L】リディアと【15-011L】パロム、次のターンには【16-136S】アーロンも追加して、自軍のフォワードを守りながらすばやく殴りきるプランを狙います。
ぬるたさんはなんとか【16-136S】アーロンを退けて他の2枚にも対処しようとしますが、【16-136S】アーロンがすぐに【3-020H】フェニックスで戻ってきてしまい目論見が阻まれます。そのまま7点のダメージをもぎ取ったハリガイさんが勝利しました。

[2ゲーム目]ハリガイ「風氷」 対 ぬるた「火土アバランチ」
先攻のぬるたさんは2ターン目に【14-121L】バレット、【15-132S】ジェシー、【15-131S】ウェッジが並ぶ好スタート。序盤はバックアップを並べたい「風氷」としてはいきなりピンチとなります。しかし、1点目のダメージで【17-053R】チョコボがEXバーストし、ハリガイさんの手札に【12-116L】ロックがもたらされます。凍結でぬるたさんの攻撃を鈍らせたハリガイさんは、【14-057H】ローザと【12-039C】アレキサンダー2枚によって都合カードを6枚キャストしつつ【12-116L】ロックを出し、フィールドの展開と手札の確保に成功します。さらに次のターンには再びカードを5枚キャストし、ここで【14-057H】ローザによってデッキトップから【14-042L】雲神ビスマルクが出現!一気に形勢が傾きます。勢いのまま相手のフォワード陣を【12-114R】バラライで一気に崩したハリガイさんが勝利し、史上初となる2度目の名人位に王手をかけました。


kakka(モールズの夜会/風単) 対 ちょーぎょーじ(土雷/水氷)

[1ゲーム目]kakka「モールズの夜会」 対 ちょーぎょーじ「土雷」
kakkaさんは【16-003C】エルビスや【16-099C】メラルド、ちょーぎょーじさんは【15-084L】ロベルアクベルや【16-090R】シーモアでお互いに除去を撃ち合う立ち上がりとなりました。そんな中でkakkaさんは【16-121R】べスビアを複数回出し、じわじわと手札の枚数差を広げていきます。
ちょーぎょーじさんはお互いのブレイクゾーンにキャラクターカードが十分に溜まったところで満を持して【17-091L】エクスデスを出しますが、kakkaさんは【10-117H】ティーダで【16-003C】エルビスや【16-099C】メラルドを使い回すという対処手段をきっちり用意しており、そのままkakkaさんが勝利しました。

[2ゲーム目]kakka「風氷」 対 ちょーぎょーじ「水氷」
ちょーぎょーじさんは序盤から【8-034R】スケイルトードや【15-024R】オーファンでkakkaさんの手札を攻めていきます。kakkaさんも毎ターン手札が1枚になるまで消費して【8-034R】スケイルトードを回避しつつ、【14-042L】雲神ビスマルクで的確に手札を補充していきます。
しかしここでちょーぎょーじさんはデッキのエースである【17-113L】グラセラ・ウェズエットで【14-042L】雲神ビスマルクを退場させ、kakkaさんの補給ルートをふさぎます。その後も【13-023R】シャルロットや【13-118C】セーラ [MOBIUS]を展開して強固な盤面を構築したちょーぎょーじさんに対し、kakkaさんも【16-135S】ルールーや【17-063R】ルッソによるドローで打開を試みますが、最後まで優勢を維持したちょーぎょーじさんが星を取り返しました。

[3ゲーム目]kakka「風氷」 対 ちょーぎょーじ「土雷」
先攻のkakkaさんは手早くバックアップを5体そろえ、【14-042L】雲神ビスマルクを送り出します。それに対し、ちょーぎょーじさんは【17-096H】黒衣の男で【4-116C】ラムウをゲームから除外し、低コストのフォワードや【13-037C】オチューの使い回しににらみを利かせる展開となります。
しかし、kakkaさんが【16-135S】ルールーと7枚目にキャストした【17-063R】ルッソによるダメージで【17-096H】黒衣の男を除去し、ここぞとばかりに大量のフォワードを展開して一気に突破を図ります。ちょーぎょーじさんは【1-107L】シャントットを願ってドローしますが引けず、そのままkakkaさんが勝利。決勝へと駒を進めました。  

ベスト4 デッキリスト


■ベスト4:ぬるた(予選2位)

デッキA:風氷

デッキB:火土アバランチ

■ベスト4:ちょーぎょーじ(予選10位)

デッキA:土雷

デッキB:水氷

決勝


 さまざまな好勝負が繰り広げられてきた『第四期名人位決定戦』も残すは決勝戦のみ。大きな大会で必ずと言っていいほど結果を残し、今大会でも精緻なプレイングが要求されるデッキを流れるように使いこなしてきた"初代名人"ハリガイさんと、昨年末の『第3期名人位決定戦』では決勝で惜しくも敗れ、雪辱と初の名人位獲得に燃えるkakkaさんという、国内最高峰のマッチアップとなりました。




[1ゲーム目]kakka「モールズの夜会」 対 ハリガイ「風氷」
ハリガイさんは3ターンかけてバックアップを4体並べ、ほぼ理想どおりの立ち上がりとなります。一方のkakkaさんは【16-065C】アンバーを引けず、3ターン目にバックアップ2体から【16-080H】マダム・エーデル、【16-022R】アウィン [FFBE]と展開。ハリガイさんはそのまま順調に【14-057H】ローザや【14-042L】雲神ビスマルク、【12-116L】ロックでアドバンテージを稼ぎつつ、相手のフォワードをさばいていきます。【14-011H】豪神スサノオで一度すべてのフォワードを除去されるものの、きっちり再展開してそのまま勝利。2度目の名人位に向けて先にリーチをかけます。

[2ゲーム目]kakka「風単」 対 ハリガイ「火土水」
バックアップを並べる相手の初動に対し、ハリガイさんは1ターン目から【15-083L】リディアと【15-119L】ポロムを展開して短期決戦の狙いを見せます。しかし、kakkaさんの【14-049H】テュポーンや【14-042L】雲神ビスマルクに阻まれ、ダメージこそ通せているもののターンを稼がれてしまいます。準備が十分に整ったkakkaさんはカードを7枚キャストしての【17-063R】ルッソでハリガイさんのフォワードを一掃し、その後1点のダメージも許さず勝利。決着は3ゲーム目に持ち越されました。

[3ゲーム目]kakka「モールズの夜会」 対 ハリガイ「火土水」
先攻のハリガイさんは1ターン目こそバックアップのみのキャストで終わるものの、2ターン目に【15-083L】リディアと【16-136S】アーロンを展開して攻めていきます。しかし、ダメージ1点目で【12-108C】レモラ、2点目で【6-108R】イシュガルド教皇(【17-090R】イクシオンをサーチ)と立て続けにEXバーストが刺さり、攻め手が止まってしまいます。すでにバックアップを十分に展開していたkakkaさんが【16-080H】マダム・エーデルと夜会のフォワードを出して攻勢に回る展開となり、ハリガイさんも再逆転に向けてバックアップを並べてからフォワードを立てていきます。しかし、kakkaさんは回答として【10-117H】ティーダと【16-119H】フースーヤを用意しており、バウンスで相手の防御をこじ開け、7点目のダメージへの道を切り開きました。

『第四期名人位決定戦』を制し、新たな"FFTCG名人"となったのはkakkaさんです。おめでとうございます!  


ファイナリスト デッキリスト


■準優勝:ハリガイ(予選6位)

デッキA:火土水

デッキB:風氷

■優勝:kakka(予選7位)

デッキA:モールズの夜会

デッキB:風単

 『第四期名人位決定戦』のレポートをお届けしました。そして早くも今週末からは『MASTERS 22-23』で新たな公式トーナメントのシーズンが開幕します。

 これからも全国各地の会場で、皆さまのご参加をお待ちしております!  

▲(写真左から)ぬるたさん【ベスト4】、ハリガイさん【準優勝】、kakkaさん【優勝、第四期名人】、ちょーぎょーじさん【ベスト4】
※撮影時のみマスクを外していただいています。