第308回:『第3期名人位決定戦』トーナメントレポート

 2021年12月25日と26日の2日間にかけて、東京のスクウェア・エニックス本社にて『第3期名人位決定戦』が開催されました。

 『第3期名人位決定戦』は2019年11月から2020年2月まで全国各地で開催された『第3期名人戦』の地区予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる大会として2020年2月に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響により直前で延期とせざるをえなくなりました。以降は状況を見ながら内部での計画と延期をくり返してきましたが、このたびようやく実施の運びとなりました。
 最終的に約1年10か月の延期となりましたが、権利者の約3分の2である40名のプレイヤーにご参加いただき2日間の大会を無事終えることができました。皆さまにはご迷惑をおかけしましたが、延期へのご理解と大会運営へのご協力にあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。

 ここでは2日間の熱戦のもようを、2日目に進出した全プレイヤーのデッキリストとあわせてお届けいたします。


『第3期名人位決定戦』生放送のアーカイブはこちら

 1日目
 2日目

予選ラウンド

 12月25日には予選ラウンドのスイスドロー6回戦が行われました。

 今大会のフォーマットは「2デッキスタンダード」で、片方のデッキに採用したカードはもう片方のデッキに使うことができません。また、新たに制定された禁止・制限カードの施行日直後の大型トーナメントということもあり、日本国内のトッププレイヤーたちがどのようなデッキを携えてくるのかに注目が集まっていました。



 40名による計80個のデッキを見ると、「土水」が火属性をタッチしたものも含めると14個で使用率トップとなりました。【13-120H】ドーガが禁止カードとなりましたが【15-083L】リディアなどを駆使して召喚獣を軸に戦う戦術は健在で、【15-120H】マインドフレアを使い回すことによるアドバンテージ確保&相手のデッキ切れも狙えるゲームプランを取るデッキや、火属性も採用して【15-011L】パロムと【15-119L】ポロムによる圧倒的なフィールド制圧能力を活かすデッキも見られました。

 それとほぼ拮抗する勢力となったのが「火単侍」の13個でした。『Opus XII』環境での活躍が目立ったデッキでしたが【15-006H】カイエンの登場もあり、【12-012L】テンゼンによる強力なアドバンテージ確保がここに来て再び注目されたようです。また、12月の『MASTERS 2021』をすべて制したコントロール型の「火単」も6個といまだ健在で、中には「火単」と「火単侍」の2デッキで参戦した方もいました。

 侍以外のジョブ系のデッキでは「王の剣」が8個、「アバランチ」「空賊」がそれぞれ4個、「モンク」「竜騎士」がそれぞれ3個で続きました。中でも「空賊」は使用したプレイヤーのうち3人がトップ12に入っており、今後のスタンダード環境でも要注目のデッキとなるでしょう。また、個別に集計すると数としてはどうしてもばらけてしまいますが風属性を軸としたデッキも変わらず人気で、全体的に見るとデッキのバリエーションに富んだ大会だったと言えそうです。



 2つのデッキでそれぞれ3回戦を行ない、上位12名が2日目に進出となります。"第2期名人"のぱっつぁんさんは4勝2敗ながらタイブレーカーで惜しくも13位となってしまいましたが、いずれ劣らぬ強豪プレイヤーたちが"第3期名人"の称号を懸けて翌日のシングルエリミネーションに挑むこととなりました。

決勝シングルエリミネーション 1回戦/準々決勝


 翌12月26日には決勝のシングルエリミネーション4回戦(予選ラウンドの上位4名は1回戦はシード)が行なわれました。広い会場が昨日とは打って変わって静寂に包まれるなか、国内最高峰の戦いが展開されました。


1回戦(結果)

ai_fftcg eureka
土水 × - 〇 空賊
土水 × - 〇 土水
 
aaaa アレックス
土水タッチ火 × - 〇 王の剣
火単侍 × - 〇 火土水
 
ひれひれ(∵) YU
王の剣 × - 〇 火単侍
王の剣 〇 - × 土水
火単 〇 - × 土水
 
holy × - 〇 Opus初心者、18才
(不戦勝)



準々決勝(結果)
 
ダンカン アレックス
火単侍 〇 - × 王の剣
空賊 × - 〇 王の剣
空賊 〇 - × 火土水
 
ハリガイ Opus初心者、18才
風水 〇 - × 水タッチ多属性バイキング
空賊 〇 - × 多属性ゴルベーザ
 
eureka Reimen Morioka
空賊 〇 - × 火水
土水 × - 〇 スカリー
土水 〇 - × 火水
 
しど ひれひれ(∵)
アバランチ 〇 - × 火単
風氷 〇 - × 火単
 

ベスト12/ベスト8 デッキリスト

※リスト内のカード名は、クリックするとカード画像が表示されます。



■ベスト12:ai_fftcg(予選5位)

デッキA:土水

デッキB:火単侍

■ベスト12:aaaa(予選6位)

デッキA:火単侍

デッキB:土水タッチ火

■ベスト12:holy(予選7位)

デッキA:風雷竜騎士

デッキB:モンク

■ベスト12:YU(予選11位)

デッキA:火単侍

デッキB:土水

■ベスト8:Opus初心者、18才(予選12位)

デッキA:水タッチ多属性バイキング

デッキB:多属性ゴルベーザ

■ベスト8:ひれひれ(∵)(予選10位)

デッキA:王の剣

デッキB:火単

■ベスト8:アレックス(予選9位)

デッキA:王の剣

デッキB:火土水

■ベスト8:Reimen Morioka(予選2位)

デッキA:風土スカリー

デッキB:火水

準決勝


しど(風氷/アバランチ) 対 eureka(空賊/土水)

[1ゲーム目]「風氷」と「空賊」の組み合わせとなりました。「空賊」のeurekaさんは2ターン目から【14-125L】ヴァンを出したもののバックアップが2体で止まってしまいますが、【15-115H】パンネロを引いたことでアビリティにより毎ターンドローできる状況になります。一方「風氷」のしどさんはバックアップこそ展開できているものの、相手のフォワードを除去する手段を引けません。【14-042L】雲神ビスマルクも相手の【14-042L】雲神ビスマルクで返されてしまい、【15-115H】パンネロによって攻め手が尽きなかった「空賊」が勝利しました。

[2ゲーム目]お互いにデッキが変わり「アバランチ」と「土水」の対戦に切り替わります。「アバランチ」が先攻2ターン目から3体のフォワードを展開して攻めるも「土水」側が【1-107L】シャントットで一掃し、主導権を握らせません。バックアップの数で差がついてしまった「アバランチ」は苦しくなりますが、【14-121L】バレットによるヘイスト付与とアバランチのコスト軽減を利用してダメージを稼いでいきます。「土水」も除去しますが「アバランチ」の攻め手が尽きず、最後もヘイスト込みで4体のフォワードがアタックできる状態を作って押し切りました。

[3ゲーム目]残った「風氷」と「土水」でのラストゲーム。これまでとは打って変わってお互いにバックアップを並べ合ってから攻めはじめる展開となりました。そして、「風氷」が出した【14-042L】雲神ビスマルクが対処されることなくターンが返ってきたことで試合が大きく動きます。【12-116L】ロックで相手の手札とバックアップを攻め、さらに【14-042L】雲神ビスマルクで手札に戻すことで毎ターンキャストできる状態を作ります。それに対して「土水」の【15-082H】ヘカトンケイルは横にいるフォワードこそ除去できるものの、【14-042L】雲神ビスマルクをなんとかすることができません。再度フォワードを展開した「風氷」が攻めきり、しどさんが決勝に駒を進めました。


ダンカン(空賊/火単侍) 対 ハリガイ(風水/空賊)

 準決勝のもうひと試合は、"第1期名人"の称号を持つハリガイさんと『World Championship 2019』準優勝のダンカンさんの対戦となりました。

[1ゲーム目]ダンカンさんの「火単侍」とハリガイさんの「空賊」による初戦。両者バックアップを並べ合う静かな立ち上がりのあと、【11-003R】カイエンから「火単侍」の攻勢が始まりました。「空賊」が5体目のバックアップを置いている間に攻撃を通し、ダメージゾーンに「火単侍」へのキラーカードである【14-115L】神竜が置かれたのを確認したダンカンさんはさらにフォワードを追加します。「空賊」も負けじと【14-125L】ヴァンから盤面を形成しますが【11-003R】カイエンを対処できず、【15-047R】カイツを失いながらなんとか耐える形に。【11-003R】カイエンは【9-055C】フランで除去されたものもすぐに2体目をキャストすることに成功した「火単侍」がパーティーアタックによる全体への7000点×2で【13-048H】バルフレアの守りを越えて相手を一掃し、ダンカンさんが先取します。

[2ゲーム目]今度はダンカンさんが「空賊」でハリガイさんも「風水」にスイッチし、アドバンテージを獲得することに長けた風水の同系らしい対戦になりました。ダンカンさんが早々にすべての空賊を並べて【15-115H】パンネロでカードを引き始めれば、ハリガイさんも負けじと【14-057H】ローザで応戦。さらに【12-037L】アーシェによるドローも加わったことで、3ターン連続して【14-057H】ローザのオートアビリティを2つとも発動させることにに成功します。しかもそれによってフィールドに出てくるのが【15-119L】ポロム、(【10-125H】リヴァイアサンで積み込んでの)【14-042L】雲神ビスマルク、【14-102L】海神リヴァイアサンと非常に強力でした。その後も応酬はあったものの一度ついたアドバンテージ差は覆らず、ハリガイさんが取り返しました。

[3ゲーム目]決着は「空賊」どうしの対決でつけられることとなりました。【4-138R】メルウィブで【14-125L】ヴァンをサーチしたハリガイさんに対し、ダンカンさんは【3-056H】ジタンで妨害を仕掛けますが、ハリガイさんの手札には【14-125L】ヴァンが2枚! 仕方なく片方を落としてターンを返します。ダンカンさんも【13-048H】バルフレアで【10-109C】エルザをつり上げ、ヴァンとバルフレアがにらみ合う形に。こうなればどちらが先により多く空賊を展開できるかのゲームになりますが、そのレースを制したのはダンカンさんでした。さらにダメ押しで【14-042L】雲神ビスマルクが【3-056H】ジタンを回収したところでハリガイさんが投了。最後までもつれた熱戦はダンカンさんの勝利となりました。  

ベスト4 デッキリスト


■ベスト4:ハリガイ(予選4位)

デッキA:風水

デッキB:空賊

■ベスト4:eureka(予選8位)

デッキA:空賊

デッキB:土水

決勝


 2日間にわたる『第3期名人位決定戦』も残すは1試合、決勝戦のみとなりました。決勝の舞台となるたった2つの椅子、その1つに座るのは予選1位通過のダンカンさん(空賊/火単侍)です。ダンカンさんは『World Championship 2019』準優勝や『MASTERS 2017 FINAL』優勝など数々の実績を持つ強豪プレイヤーで、前日の予選ラウンドも全勝と勢い十分で駆けあがっています。そしてもう1つの席に座るのは予選3位通過のしどさん(風氷/アバランチ)です。しどさんも『MASTERS 2018 THE AFTER』優勝などの肩書を持った強豪プレイヤーです。歴戦の2人にとっても新しい称号となる"第3期名人"の座を懸けた戦いが始まります。

[1ゲーム目]予選ラウンドの順位により先攻/後攻の選択権を持つダンカンさんは「火単侍」を、対するしどさんは「風氷」デッキを選択します。
 開幕からゲームは大きく動きます。先攻のダンカンさんは「侍」デッキのキーカードである【12-012L】テンゼンをキャスト。対するしどさんはバックアップ2体の展開から、4コストに減った【12-116L】ロックを手札をすべて使ってキャストし【12-012L】テンゼンのブレイクを試みます。しかし、ダンカンさんも残る手札すべてを使って【12-002H】アマテラスをキャストし、【12-012L】テンゼンがフィールドに残ります。1ターン目からお互いが手札を使い切る攻防となりました。
【12-012L】テンゼンを対処できなかったしどさんですが、次のターンで【14-049H】テュポーンを引き当て、すぐに【12-012L】テンゼンへの回答を見つけます。これによりしばらくはしどさんのみがフォワードをコントロールしている状況となり、ダメージレースを有利に進めます。
 しばらく耐えていたダンカンさんもブレイクゾーンに「侍」が7枚溜まったことで、温存していた【14-014C】侍を連続で展開し、逆転が見える状況まで持ち返します。しかし、序盤から受けていたダメージが重くのしかかり、最後はしどさんの【12-116L】ロックと【13-132S】ティターニアがブロッカーを次々とダル+凍結し、そのまま押し切って勝利しました。

[2ゲーム目]ダンカンさんは再び「火単侍」デッキを選択、しどさんは残った「アバランチ」デッキを使用します。
 前のゲームとは異なり、お互いがバックアップを出す静かな立ち上がり。その後もダンカンさんは【11-140S】カダージュと【11-003R】カイエン、しどさんは【14-121L】バレットと【15-131S】ウェッジを出してアタックしあう静かな展開となりました。しかし、決着は突然訪れます。
 お互い3点ずつ与えあっている5ターン目、しどさんが熟考ののち「行くか」と一言つぶやいて勝負に出ます。まずは【15-139S】クラウドで「ブレイクゾーンの【14-120H】ティファをフィールドに戻す」と「【11-003R】カイエンに10000ダメージを与える」を選択。これをダンカンさんは【12-002H】アマテラスで返すことができません。さらにしどさんは追加で【15-134S】ビッグスを出し、【14-121L】バレットの恩恵によって4体のアバランチがアタックできるフィールドを作ることに成功します。この状況に明確な回答を持たないダンカンさん、EXバーストにも期待を込めましたがそこにも光明はなく、アバランチたちの猛攻によって一気に4ダメージを叩き出したしどさんがみごと"第3期名人"の称号を獲得しました。  


ファイナリスト デッキリスト


■準優勝:ダンカン(予選1位)

デッキA:空賊

デッキB:火単侍

■優勝:しど(予選3位)

デッキA:風氷

デッキB:アバランチ

 『第3期名人位決定戦』のレポートをお届けしました。スタッフ陣にとってもかなり久しぶりの大型トーナメントで感覚を取り戻すのに苦労しましたが、皆さまのご協力のおかげで無事に開催することができました。ありがとうございました。

 そして2日目の生放送でもおしらせしたとおり、4月からは『第4期名人戦』を開催する予定です。このレポート時点では新型コロナウィルスの感染が再拡大していることもあり大会情報をお届けできるのはまだ先となりそうですが、今後も安全なトーナメントの実現に努力し、皆さまとお会いできるのを楽しみにしております。

 "第4期名人"になるのはあなたかもしれません!  

▲ベスト4:ハリガイさん

▲ベスト4:eurekaさん

▲準優勝:ダンカンさん

▲優勝:"第3期名人"しどさん