第228回:プロデューサーからスペシャル Vol.2 【11-033R】ゲンティアナ

 みなさんこんにちは! 『FF-TCG』開発プロデューサーの景山です。プロデューサーから特別編の2回目となる今回は属性の話を書こうかと思っていました。しかしながら『Opus XI』リリース直後からあるカードに関する質問が非常に多く、1度それに関して詳しく説明しておく必要があると思ったので、今回はそのカードに関しての話をしたいと思います。

 鋭い方なら予想できていると思いますが、そのカードとは【11-033R】ゲンティアナです。書いてあることは非常にシンプルで、一見して特に問題なさそうに見えるのですが条件がそろうと、とたんに今まで見たことのないような複雑なカードになります。特に自分と対戦相手が両方とも【11-033R】ゲンティアナをコントロールしていた場合、複雑な状況になりがちです。そういった状況に少しでも助けになるように、実例を挙げながら説明していきますのでぜひ読んでみてください。

どっちが失う?

 それではまず、先ほど言ったようにお互いが【11-033R】ゲンティアナをコントロールしているときに起こりえる問題から見てきたいと思います。

1:ゲンティアナが自身のアクションアビリティでもう1体のゲンティアナをダルにした場合

 ゲンティアナには自身をダルにすることで「フォワード1体を選ぶ。それをダルにする。」というアビリティがあります。これはもちろん、「対戦相手のコントロールするダル状態のフォワードはすべてのアビリティを失う。」というもう1つのアビリティを有効に使うためのわかりやすいアビリティなのですが、それを対戦相手のコントロールするゲンティアナに使用すると、とたんに複雑になります。結果としてどちらもダル状態になるのですが、どちらのゲンティアナがアビリティを失うことになるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。なお、わかりやすいようにここからは自分のコントロールしているゲンティアナをゲンティアナA、相手のものをゲンティアナBとします。

 ゲンティアナAがアビリティを使用してゲンティアナBをダルにしようとした場合、まずコストの支払いでゲンティアナAをダルにします。この時点でダル状態になったので、Bの効果によってAはアビリティをすべて失います。その後、スタックに乗っているAの効果でBがダルになりますが、すでにAはアビリティをすべて失っているのでBはアビリティを失わずAだけが失うことになります。ただ、もしAが先にアクティブになることがあればAはアビリティを取り戻すのでダル状態のBが今度はアビリティを失うことになります。

2:ゲンティアナが同時にダル状態になった場合

 次に複数のゲンティアナが同時にダル状態になる場合です。たとえば【10-028L】暗闇の雲のような、まとめて複数のフォワードがダルになることがあります。1の場合は順を追って考えていけばわかりやすいのですが、こちらはなかなか難しいです。一見すると両方ともアビリティを失いそうですが、両方アビリティを失ったならアビリティを失う効果が消えるので両方ともアビリティを再び得そうです。しかしそうなると、またそのアビリティでお互いのアビリティが消えることになり……ということを繰り返して終わらなくなります。この場合はどちらのゲンティアナが先にフィールドに出ていたのか(これをタイムスタンプと呼びます。)をチェックすることになります。先に出ていたゲンティアナの効果がまさり、相手のゲンティアナのアビリティを失わせることになります。ゲンティアナを使用するプレイヤーは、相手もゲンティアナを使っている場合はどちらのゲンティアナが先に出ていたのかを覚えておくようにしましょう。

 ではその応用として、お互いのゲンティアナが同時にフィールドに出ていた場合、つまり出た順番が付けられない場合はどうなのでしょうか。あまりないケースですが【9-102H】アルティミシアなどのアビリティで同時にフィールドに出ることもあり得ます。この場合は出たときにそのターンを進めているプレイヤー、いわゆるターンプレイヤーがどちらのゲンティアナのアビリティを優先するか決定し、以降はそれが継続します。以前にtwitter等で間違えた回答をしてしまったことがありましたがこちらが正しいものとなりますのでご了承ください。

ほかのカードとの相互作用

 ここまではゲンティアナ同士の場合のみを紹介してきましたが、ここからはほかのカードとの関係で起こる疑問点を解消していきます。まず【1-152L】アルティミシアと組み合わせた場合。アルティミシアはフォワードがフィールドに出るときにダル状態で出ることを強制します。ではあなたがゲンティアナとアルティミシアを同時にコントロールしていて対戦相手がフォワードをフィールドに出したとき、特にそのカードがフィールドに出ることによって発動するオートアビリティを持っているとき、どのようなことが起きるのでしょう。答えは何も起きません。アビリティも発動しません。そのフォワードはゲンティアナの影響を受け、なんのアビリティも持たない状態でフィールドに出てくるのです。

 続いて【11-029C】クァールのように継続的にフォワードになるアビリティを持つモンスターとゲンティアナの関係を説明します。クァールは「あなたのターン中、クァールはパワー7000のフォワードとしても扱う」というアビリティを持っています。このクァールがアタックしたときに相手にゲンティアナがいた場合、ダル状態になるのでアビリティを失います。そうするとモンスターに戻るのでアビリティが復活し、またフォワードになります。しかしフォワードになるとアビリティを失うので……。というさっき見たような状況が発生します。この場合は先ほどとは少し違い、必ずゲンティアナのアビリティが優先され、クァールはアビリティを失ったモンスターになります。これはなぜかというと、継続的に効果を与える能力がお互いに影響を与え合う場合は、カードに書いてあるテキストを変更するアビリティが優先されるからです。

 絶対そうだとは言い切れないのですが、基本的にゲンティアナと何か問題になりそうなカードがあった場合、ゲンティアナのアビリティが優先されることが多いことを覚えておいてください。

 さて、今回は特殊なコラムとなりましたが少しは皆様の役に立てたでしょうか。次回はカードの属性の決め方に関する話をしていきたいと思います。それではまたお会いしましょう。